天然無垢材と集成材の違い

「木」は全て同じだと思っていませんか?
建築材料として使われている木材には
天然無垢材や集成材、合板といった様々な種類の素材があり
木材と言う、一括りのジャンルに分類されて存在しています。
一般のお客様から見ると、確かに見た目も木にしか見えないため
違いが判らない、知らない、聞いたことがない、という方も多いかもしれません。
ここで、天然無垢材と集成材、その他の素材について違いを見ていきましょう。
【天然無垢材(てんねんむくざい)】
天然無垢材とは、自然の木から切り出したままの素材のこと。
接着剤などで張り合わせをしていない1本の木材のこと。
メリット:
・芳醇な木の香りが楽しめる
・自然素材の為、揮発性化学物質に悩まない
・優しい質感で、触れる手足や視覚的にも温もりを感じることができる
・自然素材のため、同じ木目は存在せず唯一無二の特別な素材
・湿気を吸ったり吐いたりする調湿効果があるため、室内を快適に保ってくれる
・消臭効果があるため、ニオイが気になる下駄箱やトイレも消臭剤不要
・殺菌、抗菌、抗ウイルス効果がある
・断熱効果があり、夏はさらっと爽やかに、冬はほんのり暖かく感じる
・防虫効果が高い材種もあり、ヒノキや能登ヒバは害虫駆除剤を塗布しなくても寄り付かない
・しっかり乾燥させた木材は強度が高く、乾燥すれば乾燥するほど強度が上がり続ける
・年数を追うごとに深みや味が加わり、趣が増すため経年変化を楽しむことができる
・日本の伝統木造建築の始まりは縄文時代と言われており
数千年以上も前から使われ続けている建築材料のため、安心できる実績がある
デメリット:
・森から切り出された直後や十分に乾燥していない木材は、大きく反ったり、ねじれが出やすい
・乾燥させた無垢材でも、家の引渡し後の生活の仕方、室内環境によっては反ったり動いたりする
・柔らかい樹種は、へこみ傷やひっかき傷が付きやすい
・経年変化を、捉え方次第では汚れや劣化と言われることもある
・集成材や合板と比べて、コストが上がる
【集成材(しゅうせいざい)】
集成材とは、複数枚の板を接着剤で貼り合わせて、1本の材料として成形したもの。
人工的に加工された木材のこと。
【合板(ごうばん)】
合板とは、スライスした木の板を繊維方向を交差させながら貼り合わせて板状に成形したもの。
人工的に加工された板材のこと。
【パーチクルボード(パーティクルボード)】
パーチクルボードとは、木材の端材をおがくずや木くず・チップなどに細かく粉砕し
接着剤を塗布して圧縮し成形したもの。
人工的に加工された板材のこと。
(集成材・合板・パーチクルボード共通)
メリット:
・工場生産の為、品質が安定していて大量生産できる
・大量生産可能な分、無垢材に比べるとコストを抑えやすい
・大きなサイズも作れるため、作業効率が上がる
・工場生産で作られた当初、無垢材の1.4~1.7倍ほどの強度がある
・小さな木片や端材も再利用して作られるため、材料の無駄をなくすことができる
・ホームセンターなどでも販売されており手に入りやすい
デメリット:
・化学物質を含む接着剤で貼り合わせているため、シックハウス症候群を発症する可能性がある
・「F☆☆☆☆(エフフォースター)※」認定の建材を使ってもホルムアルデヒド以外の
化学物質はまだまだ含まれているため注意が必要
(※F☆☆☆☆とは、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの発散量を示すマーク)
・木目や質感が均一になりすぎるため、無垢材のような唯一無二の味わいは少ない
・日本では100年前にはない素材の為、耐久性の実証データがない
・接着剤を多く含むため湿気や水濡れに弱い
・接着剤の強度もいつまで続くという実証がなく、壁内で剥がれてくる可能性もある
・水がついて腐ってしまうとシロアリ被害が拡大しやすい
【木の乾燥方法について】
無垢材のデメリットにも挙げた通り、森から切り出された直後の木は、沢山の水分を含んでいます。
十分な乾燥が行われていないまま使用すると、木が大きく動いたり、虫が付きやすく
腐りやすいなど、家の強度にとっても大きな影響を与えかねません。
そこで木材はしっかり乾燥させてから、材料として加工して使用します。
木の乾燥方法は2種類ありますので、それぞれご紹介していきます。
●自然乾燥
木材を、屋外や屋根のある風通しの良い場所で1年以上かけてゆっくりと乾燥させる方法。
メリット:
・木が本来備え持っている芳香成分や、防虫、抗菌効果などをしっかり残したまま
水分だけを飛ばすことができるため、上質な材料になる
・木の香りがしっかり残る
・その地域や風土に合った材料になる
デメリット:
・乾燥に時間がかかる
・乾燥させるための乾燥場や木材の保管場所が必要となる
・時間も場所も必要となるため生産効率が悪く、自社で手掛けている会社が少ない
●人口乾燥(機械乾燥)
木材を、乾燥装置の中に搬入し高温の熱を加えて短期間(10~14日前後)で乾燥させる方法。
メリット:
・乾燥スピードが速い
・一度に多くの材料を乾燥させることができる
・乾燥の品質にムラがない
デメリット:
・乾燥装置を自社で持つ場合、機械の初期費用がかかる
・機械の置き場が必要となる
・高温の熱を加えることで、木材に無数の内部割れが生じてしまい、木の粘り強さがなくなる
・高温の熱を加えることで、木の繊維はズタボロになり焦げ臭くなる
・木の芳香成分や、防虫、抗菌効果などの本来持っている性能は
60℃以上の熱を加えることで酵素が分解され揮発してなくなってしまう
その結果水分は飛んだものの、かえって虫に弱く腐りやすくなる
【木材の種類と木の乾燥方法についてまとめ】
このように木材というジャンルに分類されている素材には、様々な種類があり
また、同じ木材でも乾燥方法によって、木材の強度を大きく左右するほどの違いがあります。
「どんな素材を使った家造りをしたいのか」
「家造りにおいて、何を最も重視しているのか」
「どんな暮らし方をしたいのか」
ご家族の意見やそれぞれの価値観はとても大切です。
それらを基に、どんな工法を選び、どんな素材を使うのかを吟味することが大切です。
木は木でも、同じではないということをぜひ知って頂けたら幸いです。
~~おまけ~~
【簡単な実験をしてみました】
約15センチほどの長さに切ったの無垢材と合板を
同じ条件のもと、同じ日、同じ水道水に浸け置きするだけという
簡単な実験をしてみました。(左が合板 右がヒノキ無垢材)
条件を全て揃えて水に浸けておくだけ、というシンプルな実験でしたが
浸け始めてから徐々に変化が現れ始めました。
左の合板を浸けた水は、徐々に茶色く濁っていき
約1ヵ月程で向こう側が見えなくなるほどの茶色い液体となりました。
ボトルを開いてみると、ツンとした臭いがすると共に
水からはみ出ている部分に少し白いカビが見られました。
右のヒノキ無垢材を浸けた水は、木の樹脂のようなモヤは少しだけあるものの
ほぼ色も変わらず透き通った状態のままでした。
ボトルを開けてみると、純正のヒノキオイルのような芳醇な香りがし
カビは見られませんでした。
ここで、皆様に質問です。
このボトルを「家」だと考えてみてください。
“どちらの家に住みたいですか?”
空気は無色透明のため目には見えませんが、それを簡易的に見える化した実験でした。
合板を入れた水が茶色く濁った原因となる成分はわかりかねますが
揮発性の化学物質が水に溶け出たものだと考えられます。
家の構造や内装に集成材や合板などの建材を多く使い
建物の性能を高気密・高断熱といった、隙間の少ない高スペックな家にすることで
揮発した化学物質は外へ逃げることなく、その空気の中で家族が生活をすることになります。
大切な家族が、常に揮発した化学物質を吸い続けることになります。
集成材や合板といった建材を多く使い
デザインを良く見せたり、コストを抑えることができたとしても
その家に住む、かけがえのない大切なご家族の健康が損なわれるような家造りを
本当に良い家造りだと言えるでしょうか?
沢野建設工房では、こういった考え方を基に
自然乾燥させた天然無垢材をふんだんに使い
木の香り豊かな住まい造りを行っています。
【もっと詳しく知りたい方はこちら】
当社では、モデルハウスのご案内時や自社工場案内にて
実際の木のカットサンプルを用いながら
「木の違い」のご説明をさせて頂いております。
木の違いや木の家造りについてなど
もっと詳しく知りたい方は、ぜひ当社工場案内へお越しください。
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~こちらのページもご参考に~
『 自然素材の家って何がいいの? 』