HOMEコラム>コラム 第11回:建築用語 「プレカットと手加工」

 

 

 
年配の方に多いのですが、
   
  構造材(土台・柱・梁などの骨格部)の加工について、プレカット(コンピューターによる加工)ではなく、大工さんの手加工にしたいと仰る方が時折いらっしゃいます。
 
  最近の住宅事情では、新築される家のほとんどがプレカットで刻まれています。私たちも例外ではなく、増改築や丸太梁を掛けるなど特殊なケースを除くと、プレカットを利用することもあります。手加工にこだわる御客様からみると、大工さんの手加工の方が木組みがしっかりとすると思われているようですが、実際に は必ずしもそうとは限りません。
 
  コンピューターによるプレカットが市場に出てきてすでに15年以上が経っております。確かに当初出始めの頃は仕口(木と木の接合部)が甘く、また失敗も多かった上に、仕口自体の大きさも小さかったこともあり、手加工の方が安心して組めるというのが実感でした。しかし、現在のプレカット技術は飛躍的に進歩しており、精度や仕口の調整、材の向きなども指定できるようになったため、必ずしも手加工の方がよいとは言い切れなくなってきました。
 
  昔話になりますが、手加工しかなかった時代は、腕のいい棟梁に任せておけば、ミスもなくしっかりとした組み方になるという話を聞くこともありますが、昔の家は現代の家のように、階段や廊下の幅を1センチ単位で広げたり、中2階や吹き抜けなども通常は設けませんでした。つまり尺貫法(尺とか寸など)で都合のよい寸法で大工さん自身が図面を引いていたのです。したがって、図面の難解度から言えば、現代の住宅の方が昔の家よりもはるかに上です。
 
  また、手加工の場合は、棟梁の熟練度だけでなく、実際に刻む職人さんの熟練度も要求されます。例えば、棟梁が正確に墨付け(木材に加工する線を引くこと)をしたとしても、刻む大工さんの熟練度が低い場合、プレカット以上に組み付けの甘い建物になってしまいます。あるいは仕口の一部のみに荷重がかかったりして、プレカットよりひどい組み方になる可能性も否定できません。御客様の大切な家で、一定レベル以上の品質を確保するのは、住宅会社として当然の義務です。
 
  現代のプレカット技術は決して否定されるような品質ではありませんし、仕口の形状も工夫されて材全体に荷重が分散されるようになっています。もちろん次の世代の大工さんのことも考えて、古民家再生や大きな空間が必要な倉庫、店舗などは手加工を積極的に取り入れております。
 
  すべては携わる人材しだいです。「手加工だから優れていて、プレカットでは良くない」という極端な言い方はできないと思います。他の業界でもそうですが、品質の善し悪しはやはり最後は携わる人しだいということを考えると、レベルの高い思想や理念を持っている会社で家を建てる方が御客様の満足につながります。

 

 

 
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気候風土と住宅 「無垢材の柱と集成材の柱ではどっちがいいの?」
 
第2回
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第3回
気候風土と住宅 「人工乾燥と天然乾燥」
 
第4回
気候風土と住宅 「気候に適した住宅とは?」
 
第5回
注文住宅の設計 「ふつうの家」
 
第6回
建築用語 「あいさつ回り」
 
第7回
建築用語 「坪単価」
 
第8回
住まいのお手入れ 「シロアリ対策」
 
第9回
建築用語 「アフターメンテナンス」
 
第10回
気候風土と住宅 「暖房器具」
 
第11回
建築用語 「プレカットと手加工」
 
第12回
注文住宅の設計 「インターネットの情報収集」
 
第13回
災害・事件など 「悪いのは設計士だけでしょうか?」
 
第14回
建築用語 「地鎮祭」
 
第15回
住まいのお手入れ 「畳にカビが生えて困っています。」
 
第16回
住宅に関わる税金 「相続時精算課税」
 
第17回
気候風土と住宅 「建築中の住宅展」
 
第18回
災害・事件など 「壁の配置とバランス」
 
第19回
住まいのお手入れ 「結露」
 
第20回
建築用語 「Low−eガラス」
 
第21回
住まいのお手入れ 「お風呂の床を乾かしたい。」
 
第22回
注文住宅の設計 「TVをどこに置けばいいの?」
 
第23回
注文住宅の設計 「家作りをどこに依頼するか?」 その1.設計事務所編
 
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